自己破産できる条件と破産ができない「免責不許可事由」について
もくじ
自己破産ができる条件ってなに?
債務整理の方法には、任意整理・個人再生・特定調停・自己破産と大きくわけて4つの手続きがありますが、自己破産以外の手続きは減額してもらったとしても、今後返済を継続しなくてはならない手続きです。
病気やケガ、転職で給料が下がったなど、給料から生活費を支払うと現実的に借金を返済する余裕がない場合には自己破産の手続きをすることになります。
自己破産の手続きは裁判所に申し立てをして認められれば借金をチャラにできる唯一の方法です。
借金をゼロにしてもらえる手続きですが、貸金業者側からすると、返済してもらえるはずだったお金を返してもらえなくなるため、誰でも自己破産ができる!というわけではありません。
自己破産ができるかどうか。
まず、大前提は「支払不能状態」であることです。
単純に「借金の返済がしたくない」という理由で自己破産はできません。
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自己破産・実は2種類の手続きがある
一般的にはあまり理解・認識はされていませんが、自己破産の手続きは更に2種類の手続きに分かれます。
どちらも自己破産の手続きなので、借金がゼロになる手続きであることは間違いありません。
自己破産の手続きをして、裁判所から借金の返済を免除してもらうことを法律用語では「免責(めんせき)」と言います。
手続きは、「①同時廃止(どうじはいし)」と「②管財事件(かんざいじけん)」に分かれます。
どちらの手続きになるのかは、借金の状況・住宅・車をもっているのか?など、それぞれの状況によってどちらの方法で手続きを進めていくかを決めることになります。
通常、自己破産の手続きは①破産手続開始申し立て②免責許可申立ての二段階で手続きをする必要があります。
同時廃止の手続きの場合、①破産手続開始申し立てをする必要がないため、通常の管財事件で破産手続きを進めていくより、手続きが簡略化されるということになります。
①同時廃止(どうじはいし)
同時廃止とは、財産(20万円以上の資産価値が基準)をもっていなくて、破産手続費用を支払うことが出来ないと認められた場合にとる手続きのことです。
同時廃止では破産手続開始決定と同時に手続きが終了(廃止)します。
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②管財事件(かんざいじけん)
管財事件とは、破産手続きを処理する「破産管財人」の選任が必要になる手続きです。
破産の手続きは、申立人の財産を調査したり、必要があれば申立人の保有財産(不動産や車など)を現金化し、各債権者(貸金業者)に均等に分配したりします。
破産管財人は調査などを担当することになり、裁判所から選任された弁護士が担当し(依頼した弁護士による兼用はできません)、事件処理をしてもらうための報酬を申立人が予納しなければならないとされています。
このため、破産管財人の選任が必要のない同時廃止事件と違って、管財事件の場合は申立人の費用負担が大きくなります。
破産ができない理由「免責不許可事由(めんせきふきょかじゆう)」がある
自己破産の申し立てをしたからといって、裁判所から免責許可決定が全員ももらえるというわけではありません。
破産の免責は債権者(貸金業者)の犠牲のもとに申立人を経済的に立ち直らせるという目的があります。
裁判所が免責を許可することによって、債権者は本来返してもらえるはずだったお金を失うことになるため、不誠実な申立人に対して無条件に免責を許可することは債権者と公平とはいえません。
そのため、破産法では、一定の事情がある場合、裁判所は免責を許可しないと定めており、この「一定の事情」を免責不許可事由といいます。
【免責不許可事由】
- ① 財産隠し
- 自己破産をすると、借金の返済を免責してもらう代わりに、財産は債権者に配当されます。
その財産を債権者に渡したくないからといって、自己破産前に名義を書き換えたり、財産を隠した場合は、自己破産は認められません。
また、財産を隠す行為は免責許可が下りないだけではなく、破産詐欺罪で刑事責任に問われる可能性もあるため必ず正直に申告をするようにしましょう。
- ② クレジットカードの現金化・換金行為
- 事故破産の前にクレジットカードのショッピング枠で換金率の高い買い物をして、商品を売却することで現金を得る行為は免責不許可事由に該当します。
すでに返済ができないことをわかっているのに、商品を購入し、現金を手に入れるという行為は避けましょう。
- ③ 偏波弁済(へんぱべんさい)
- 偏波弁済とは、特定の債権者にだけ返済をすることです。
自己破産の手続きは、親や友人にだけは返済を続けるということはできません。
貸金業者と同様に扱わなければなりません。そのため、安易に特定の債権者にだけ返済をおこなう行為には注意しましょう。
- ④ 浪費・ギャンブルによる借金
- ギャンブルなどにつぎ込むために借金をした場合や、いわゆる浪費と呼ばれるような分不相応な目的のために借入れをすることは、免責不許可事由に該当します。
また、株やFX取引などの損失の穴埋めをするために借金をした場合にも該当することがありますので注意が必要です。
- ⑤ 収入を偽るなど、詐欺的な借り入れ
- 自己破産の申立の前1年間の間に、自分に資産があるように装い、本来お金を借りられない状態にもかかわらず自分の収入を偽ってお金を借り、返済ができなくなった場合には免責不許可となります。
- ⑥ 書類の破棄・改ざん
- 自己破産の手続きをするときには、確定申告書・通帳・給与明細など、財産に関するさまざまな書類を提出します。
それらの書類を悪意をもって改ざん・破棄・偽造する行為は免責不許可事由とされています。
- ⑦ 虚偽の債権者名簿提出などの行為
- 虚偽の債権者名簿・債権者一覧表を提出することです。
偏波弁済のように、親や友人にだけ借金の返済をしたいからと虚偽の債権者一覧表を提出することは絶対にやめましょう。
- ⑧ 虚偽の申告
- 破産手続において裁判所がおこなう調査について、説明を拒んだり、虚偽の説明をすることは不誠実であると判断された場合、免責の許可がもらえなくなります。
- ⑨ 破産管財人等の妨害
- 自己破産の手続きが管財事件になった場合、不正な手段をとって、破産管財人(代理)・保全管理人(代理)の職務を妨害、財産の管理などを困難にした場合にも免責の許可がもらえなくなります。
- ⑩ 過去に自己破産してから7年未満
- 過去に自己破産の手続きをしている場合、過去の免責許可決定の確定から7年経過していない場合に申し立てをした場合は、免責は認められません。
- ⑪ 破産法上の義務違反
- 破産の手続きをする場合、破産管財人へ事情を説明し、破産管財人等への重要財産開示義務・裁判所がおこなう免責に関する調査への協力義務があります。
この義務をはたさなかった場合には破産手続きの円滑な進行を妨げたとして、免責不許可とみなされます。
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免責不許可事由があった場合でも「裁量免責(さいりょうめんせき)」がある
免責不許可事由があっても、実際にはほとんどのケースで自己破産が認められています。
破産法252条第2項で規定されている「裁量免責」があるからです。
裁量免責とは、裁判所が免責不許可事由がある場合でも、破産手続きをするに至った経緯、その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めたときに免責を許可することをいいます。
破産者が深く反省をしていて、裁判所の調査や破産管財人・弁護士に協力的な姿勢を見せ、初回の自己破産であればほとんど免責が受けられるケースが多いのは、この裁量免責があるためです。
ただし、前回の破産から7年経過していないのに、またギャンブルで借金をした場合などは認められません。
その場合には自己破産以外の債務整理手続きをして返済を続けていく必要がありますので、免責不許可事由に該当する可能性がある場合には弁護士や司法書士によく相談してみましょう。
自己破産にかかる費用は?
自己破産の費用は借金をゼロにしてもらえる代わりに手続きが複雑、かつ期間がかかるため費用は決して安いとはいえません。
しかし、現在は弁護士・司法書士事務所ともに、費用の分割払いが可能な事務所がほとんどです。
また、自己破産の費用相場は事務所ごとで比較しても大きく変わらないことがおおいです。
そのため、費用はおおおその目安さえ覚えておけばよいでしょう。
自己破産をするためにかかる費用には、①裁判所に払うための費用と②弁護士や司法書士に依頼してかかる費用が発生するということを抑えておきましょう。
①裁判所に払うための費用
手数料
- 収入印紙・・・1500円分
予納金
予納金は、同時廃止として扱われるか、管財事件として扱われるかで大きく異なります金額が変わります。
- 同時廃止の場合・・・10,584円
- 管財事件の場合・・・裁判所の定める額。小規模な管財事件(少額管財)であれば20万円程度
郵券代(切手)
- 同時廃止の場合・・・債権者数×82円
- 管財事件の場合・・・5000円程度
②弁護士や司法書士に依頼してかかる費用
- 同時廃止・・・20万~40万円程度
- 少額管財事件・・・30万円〜50万円程度
債務整理・自己破産の無料相談は【司法書士法人みつ葉グループ】へ
自己破産については手続きや準備する書類が非常に複雑なため、個人で手続きをすることはよほど時間がとれないと難しいでしょう。
当事務所では自己破産の費用も分割払いが可能です。
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