債務整理は本人以外でもできる?本人が亡くなった場合・連帯保証人にでる影響は?
家族や友人に借金で悩んでいる方がいる場合には「なんとかしてあげたい」と思う方が多いと思います。しかし、本人が債務整理に消極的だったり、相談に行きたがらないということも多いと思います。
また、本人が借金を残したまま死亡してしまった場合や、痴呆症、病気や入院、精神的な病気などで借金を返済しつづけることができない状況になってしまった場合にも家族や親族が対応しなくてはならないケースもあります。
状況別に対応方法や注意点について解説いたします。
もくじ
債務整理を本人以外が行うことはできのるか?
本人以外に原則手続きはおこなえない
本人の代わりに手続きを代理でしたいとおもっても、本人に債務整理をおこなう意思がなければ家族であっても勝手に手続きを進めることはできません。
手続きには身分証明書の提出や、本人との相談がかならず必要となります。借金問題を解決するには「個人情報の取り扱い」が必要不可欠なため委任状のみで勝手に手続きを進めるようなことができない手続きです。
しかし、例外的に本人が亡くなってしまった場合や、本人に病気などの特別な事情がある場合には家族が代理で手続きできることになりますので事情がある場合には当事務所の無料相談で詳しくお話をお伺いさせていただきます。
本人が【認知症・知的障害・精神障害】青年後見人制度を利用して代理で手続きする
債務整理は本来、本人が自分自身でおこなう手続きですが、例外があります。
本人に障害、(たとえば認知症や知的障害、精神障害など)が起こってしまった場合に判断能力がなくなってしまうことがあります。
その場合には、本人に借金を返済していく能力がないため、家族が「成年後見制度(せいねんこうけんせいど)」という制度を利用することによって法定代理人(ほうていだいりにん)となり、代理で手続きをすすめていくことが可能です。
この制度を利用するには家庭裁判所に申し立てをすることが必要になります。
家庭裁判所が申し立てを受けて青年後見人としてふさわしいかどうかを判断します。
選任された後見人は本人の利益を考えて代理で法律行為をおこなえるようになります。
後見人は本人の身の回りの世話や財産の管理、法律行為をおこなっていくことになるため、通常は家族が後見人になりますが家庭裁判所が後見人としてふさわしくないと判断した場合には家族だからといってかならず選任されるわけではありません。
申立ができる範囲も厳格に決められていて、本人、配偶者、四親等以内の親族もしくは検察官と定められています。
申立をする裁判所は本人の住所地である家庭裁判所が管轄となり、選任されるまでの期間は審議や調査などの時間がかかるため、おおむね4カ月程度かかります。
また、後見人になれない条件があるので家族内で借金問題を解決する場合にはだれを後見人として申立てをするのか話し合う必要があります。問題がない場合、後見人に選任されれば代理で債務整理の手続きをおこなうことができることになります。
手続き方法がわからない場合には、当事務所の無料相談でご説明させて頂けますのでぜひご利用ください。
<後見人として申立てができない条件>
- 未成年者
- 以前に後見人などを解任された履歴がある方
- 破産者
- 本人に対して訴訟を起こしていたことがある人やその配偶者と直系血族の方
- 行方不明な方
債務者本人が亡くなってしまった場合
相続人ってなに?
家族が亡くなってしまったときに、自分がどの立場にあたるかわからず放置してしまうと取り返しのつかないことがありますので、注意しましょう。
亡くなった人→「被相続人(ひそうぞくにん)」
遺産(借金も含めて)受け継ぐ立場の人→「相続人」
本人が亡くなった場合に、遺言書が残っていなければ法律で決められた割合で、法律で決められている人たちが借金も含めて財産を引き継ぐことになります。
・法律で決められている相続人を「法定相続人(ほうていそうぞくにん)」といいます。
借金を残した本人が亡くなってしまった場合、この法定相続人にあたる家族や親族はなんらかの手続きをする必要がでてきます。
たとえば借金以上に預貯金や土地などのプラスの財産がある場合には、それを処分したお金で借金を返すことができます。
しかし、プラスの財産がなにもなく、借金だけが残ってしまっているという場合には、代理で借金を払ってあげる気持ちがない限りは手続きをしなければ代理で借金を払うという義務が発生してしまいます。
しかも、法律で手続きができる期間が決められているため、本当に悲しくても泣いている場合ではないんですよね。
あとで、「手続きをする必要があったなんて知らなかった!」では済まされないというのがつらいところです。
相続する順位と割合は以下の通り!
※配偶者は常に法定相続人
→配偶者については、順位がつけられることはありません。
亡くなった時に配偶者がいる場合、配偶者は常に相続人です。
① 法定相続人1位は「子ども」です。
→配偶者がいる場合、配偶者が半分、その残りの半分を子供たちの人数で割ってそれぞれの持ち分を相続することになります。
② 法定相続人2位は「親」です。
→配偶者がいる場合、配偶者が3分の2、被相続人の子がいない場合、親は3分の1が法定相続分になります。
③ 法定相続人3位は「兄弟姉妹」です。
→配偶者がいる場合、配偶者が4分の3、被相続人に子や孫、親や祖父母がいない場合、兄弟姉妹は4分の1が法定相続分になります。
【法定相続分】
配偶者と子どもが相続人 | 配偶者に2分の1 子どもに2分の1 |
---|---|
配偶者と直系尊属(※)が相続人 | 配偶者に3分の2 直系尊属に2分の1 |
配偶者と兄弟姉妹が相続人 | 配偶者に4分の3 兄弟姉妹に4分の1 |
※直系尊属・・尊属とは、自分よりも前の世代、上の世代のことを指します。 つまり、自分の先祖に当たる人のことです。その尊属の「直系」であるため、直系尊属とは「父母」や「祖父母」「曾祖父母」となります。
※代襲相続(だいしゅうそうぞく)
自分が法定相続人かどうか確定させるためには、代襲相続についても確認が必要です。
代襲相続とは、相続人が被相続人(今回亡くなった人)より先に亡くなっていた場合、相続人の子供や孫が代わりに相続人となるという制度です。
ただし、代襲相続できる範囲は無限ではありません。法定相続順位が第3位の「兄弟姉妹」が先に亡くなっていた場合、代襲者となれるのは、その子供(被相続人から見ると甥・姪)までに限られています。
放置すると大変!手続きをしないと借金を払うことになる!
ご自身が法定相続人にあたる場合、借金の相続放棄をするのかどうかをきめる期間は「相続が開始されたこと知ったときから3か月以内」と法律で定められているため、その期間になにもせずにいると借金を相続して返済するということになります。
「相続が開始されたこと知ったとき」というのは具体的にいうと、「死亡を知り得た日」からということになります。
たとえば、両親が亡くなって離婚していて全く付き合いがなく、亡くなったことを知らなかったという場合には死亡した日からではなく、死亡したことを知った日ということになります。
3ヶ月以内にとる手続きはおおきくわけて3種類あります。
①相続放棄(そうぞくほうき)
相続放棄という手続きは、法定相続人が亡くなったひとの財産(プラスの財産もマイナスの借金もすべて合わせて亡くなったひとの財産といいます。)をすべて受け取らないと宣言し、裁判所に相続放棄の書類を提出して、受理してもらうことで成立する手続きです。
相続放棄の方法は亡くなった人の最後に住んでいた住所の管轄の家庭裁判所に必要書類を添付し、郵送することで処理してもらいます。
プラスの財産よりマイナスの財産が多い場合、(借金を払ってあげたいという方以外)法定相続人で相談して、法定相続人の順位の高い順番に全員が相続放棄をすることになります。
その場合、3か月の期間の始まりは、第一順位の法定相続人が裁判書に書類を提出した時点からカウントされますので安心してください。
裁判所で受理されると受理証明が送られてきます。
債権者(貸金業者)から相続人宛に借金の返済をせまる請求書が届いた場合には相続放棄の受理証明を相手におくることで債権者は請求ができなくなりますので大切に保管しましょう。
また、相続放棄ができる期間を知らなかったからという理由で督促がきてから相続放棄をしようとしても原則できませんので十分注意しましょう。
過払い金が発生している借金の場合、相続放棄をしてしまうと過払い金を受け取る権利も合わせて放棄することになります!
亡くなった方が長年クレジットカードのキャッシングや消費者金融などで返済をしていた可能性がある場合、相続人が調査することが可能です。
相続放棄する前に、すぐに無料相談を利用しましょう。
②限定承認(げんていしょうにん)
限定承認の手続きとは、プラスの財産を超えるマイナスの財産は相続しなくてもいいという手続きです。ただし、単純に預貯金だけもらえて借金だけを払わないという手続きではありません。
たとえば、自宅や畑など(評価額1000万)をどうしても残したいけれど、借金も多額(3000万)に残っているという場合、この限定承認という手続きを選択すれば、相続人は「先買権(さきがいけん)」という制度が利用でき、この制度を利用して、家庭裁判所が選任した鑑定人が算出した自宅の評価額(評価額1000万)を支払うことで、自宅や畑を取得することができ、差額分の借金は支払いをしなくてもいいという手続きです。
限定承認とは相続放棄と違い、法定相続人全員で手続きに参加しなくてはならず、手続きも非常に複雑です。
3か月以内に裁判所に申し立てする必要があるため、どうしても手放したくないものがある場合以外にはあまり使われない手続きです。
③単純承認(たんじゅんしょうにん)
単純承認の手続きとは、「相続が開始されたこと知ったときから3か月以内」に限定承認もしくは相続放棄をしなかった場合に単純に相続したとみなされ、財産をすべて請け負うということになる制度です。
また、相続人が死亡した方の財産のすべて、または一部を処分した場合にも単純相続したものとみなされます。
たとえば不動産や株券、資産価値が高いものの形見分けなどをした場合も該当しますので、相続放棄を検討しているという場合には、プラスの財産の処分や扱いには十分注意が必要です。
あとでマイナス分のみ相続放棄することはできませんので、ご家族で相談しながら進めるようにしましょう。
過払い金が発生していた場合は「過払い金も相続の対象」
両親や兄弟がなくなった時に借金をしていたことが分かった場合には過払い金の請求が発生していないかどうかも必ず確認するようにしましょう。
本人が亡くなったら資料もないし請求できないのでは?という相談を頂くことがありますが、原則として、法定相続人であれば資料や証拠が残っていなくても過払い金の調査や請求は可能です。
法定相続人とは、法律上の相続人のことです。
たとえば、自分の母が亡くなった場合、配偶者である父と子が法定相続人となります。
亡くなった本人に配偶者も子もいなければ、父の両親、両親もいなければ父の兄弟姉妹へ、といったように法定相続人は法律で決まっている順番に移っていきます。
過払い金請求は急ぐ必要がある
亡くなった方の過払い請求をするときには注意点があります。
注意点は本人が亡くなったことを知った日から3ヶ月以内に過払い金が発生しているのかどうかを調査する必要があるという点です。
過払い金が発生していたとしても、それ以上に借金の残金が多すぎる場合は支払いをしたくないのであれば、3ヶ月以内に「相続放棄」という手続きを取らなければ、相続人は借金を肩代わりすることになるためです。
相続放棄とは、プラスの財産もマイナスの借金も含めて、相続人としての権利をすべて放棄する手続きのため、後から過払い金が発生していると判明しても請求する権利も放棄したことになってしまいます。
そのため、過払い金の調査は、なるべく早く行動することが大切です。
過払い金の調査で3ヶ月が過ぎてしまうのでは?と不安な場合でも、裁判所に期限延長の申し立てをすれば実際には調査が終了するまで待ってもらうことも可能なため、諦めず無料相談を利用しましょう。
相続人がおこなう過払い金請求方法
本人がおこなう過払い金請求と、相続人による過払い請求では、若干、手続きが複雑になります。
貸金業者に対して、過払い金請求をおこなう際に相続人であることを証明しなくてはならないという点です。
ただし、実際には過払い金が発生しているかどうかを確認してから請求に入るため、お金が返ってくるかどうかもわかないのに、無駄な手続きをするという必要はありません。
過払い金が発生していた場合には、貸金業者によって多少必要な書類は異なりますが、戸籍謄本の取得(被相続人の出生から死亡まで)や、相続人が複数いる場合には、その相続人と共同で請求するという遺産分割協議書などが必要になります。
書類については、当然普段聞きなれない書類ばかりのため、難しく感じてしまうかもしれませんが、依頼した弁護士や司法書士が戸籍の取得方法などは教えてくれるため心配する必要はありません。
相続人が貸金業者に過払い金請求する方法は大きく分けて3つあり、どの方法で過払い金を請求するのかはご家族間の事情も含めて決めていきます。
たとえば、連絡を取りたくない家族がいる場合など、ご自身の請求できる金額のみ請求するということも可能です。
- 相続人全員で請求する
- 代表の相続人を決めて請求する
- 法定相続分に従って個別に請求する
どの方法で請求する場合でも、相続の場合の過払い請求は、手続き・必要書類が複雑になるため、できるだけ早く弁護士や司法書士など専門家に相談をしましょう。
債務整理をしたときに保証人に与える影響
① 任意整理をしたとき
任意整理手続きをするときに家族への影響が心配で手続きに踏み切れないという方も多くいらっしゃいますが、任意整理をすること自体が家族に影響を与えるということはありません。
影響がでるのは連帯保証人をつけている借金を任意整理した場合です。ただし、任意整理は貸金業者を選択できる手続きです。連帯保証人を設定して借入している借金や車のローン、住宅ローンなどは除外して手続きすれば影響がでることはありません。
どうしても連帯保証人が付いた債務を任意整理の対象にしたいという場合は、連帯保証人に請求がいきます。連帯保証人は本人と全く同じ責任を負っているため返済を拒むことは出来ません。その場合には連帯保証人に事前に相談するようにしましょう。
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② 個人再生・自己破産をしたとき
個人再生や自己破産をすれば、返済する借金は大幅に減額されたり、借金をなくすことができますが、借金自体が消滅するわけではなく、残った借金の返済義務は連帯保証人に回っていきます。
借金の金額が少なければ連帯保証人が返済義務を果たしていける場合もありますが、金額が大きくて支払いきれない場合には、連帯保証人も一緒に個人再生や自己破産などの債務整理をせざるを得なくなります。
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債務整理をしたときに連帯保証人への影響を抑える方法
連帯保証人に絶対に迷惑をかけたくない、影響がでないようにしたいという場合には連帯保証人が付いている借入先を外して任意整理の手続きをとることになります。しかし、奨学金や車、住宅ローンなど金額が大きい借金をかかえて困っている場合には任意整理だけをしても本当の意味で借金問題が解決しないということがあります。
個人再生や自己破産を選択すると、連帯保証人がその借金を支払えない場合は、一緒に債務整理手続きをとることになり、一緒に債務整理をすることで連帯保証人の信用情報にも影響がでます。連帯保証人もブラックリストになります。
しかし、一緒に債務整理をすれば取り立てや、残りの借金の請求がいくということはありません。結果的に延滞をしたり、支払いができない状態におちいって連帯保証人に請求がいってしまってトラブルになるまえに、当事務所の無料相談で借金の状況についてご相談ください。
代理相談は【司法書士法人みつ葉グループ】へ
ご家族の方がご本人様の借金の状況を把握している場合、代理でお話をお伺いすることは可能です。
実際にご依頼していただくときには、一度ご本人とお話しさせていただく必要がございますが、ご本人様が仕事や病気・ケガなどで時間がとれない場合などもお気軽に当事務所の無料相談をご利用ください。手元にすべての資料がなくても大丈夫です。
また、名義人であるご本人が亡くなってしまった場合、相続のご相談などは法律で手続きをする時間と期限が決められているため、至急ご連絡ください。
長期借入していた場合、調査すると過払い金が発生しているケースが多数あります。相続放棄をする前に過払い金の調査をする必要があります。
当事務所は全国対応・365日24時間、無料相談を受け付けております。まずは一度ご連絡ください。